いまのしゅんかん -4ページ目

50歳の誕生日

 

 

今日は彼の50歳の誕生日だった。

職場ではサプライズでお祝いしてもらったらしい。

 

彼が会議の間、同僚が風船の空気を入れるのに酸欠で倒れそうになったらしい。

巨大なバルーンだ、、

普通は誕生日の人が用意するのにケーキまでアレンジされていたそうである。

 

夜は寿司屋で娘も来て三人でお祝い。

 

 

楽しかった。。。

  

50歳だけど、まだまだやりたいことはたくさん。。

とりあえず今週末から山スキー旅行に出かけるし、来月には茶室見学でストックホルムへ、5月にはアルプスにトレラントレーニングに行くことを考えている。

 

彼がこの世に生まれてきて本当に感謝。

 

黙想会

 

久しぶりに、元牧師宅の黙想会に参加してきた。

前々回は私の体調が悪くてキャンセルし、前回は牧師さん宅の家が浸水して中止になり、今回も先月参加しようと思ったら学会の用紙締め切り前日で延期させてもらったのだった。

 

昨日、これまた久しぶりに日曜の礼拝に行き、マリアの受胎に関する説教を聞き、改めて自分の宿命について考えさせられ、自分の与えられた課題について考える時間となった。

 

マリアの受胎で思うのは、私もまた不測の妊娠をし、それによって人生を一変させられたことである。

妊娠をし、東京を出て、大阪を経て島根に移り、思うような仕事につけずアカデミアの空気に飢え、恩師の翻訳の仕事を引き受け、その打ち合わせのために母校を訪れ、デンマーク人の女性PhDと出会い、彼女とのダイアログからグラントにアプライする話に発展し、3歳の子連れでデンマークに移住することになった。

当時は、デンマークにいいイメージはなく、北国の厳しい気候がただ怖かった。

気温よりも暗さにやられ、2008年に車を買って自転車に乗らなくなったら冬鬱になった。

なぜこんなところで永住することになったのかと思ったものである。

 

しかし今はこの暗さが嫌いではない。

むしろ、夏と冬のはっきりとしたコントラストが好き。

暗さの中の目が見開かれる感じが好き。きっとこの暗さがなければ、信仰を持つこともなかったかもしれない。

ここで生かされている自分を自覚できなかったかもしれない。

 


デンマークでの永住を断念した理由

フォローしている、デンマークで研究者をされていた方がたった一年半で移住してしまい、その理由についてNoteでポストされており、有料記事だったのだが払おうと思っても私のカードは決済拒否され、そしたら彼が購入したというので読ませてもらった。

 

同じタイミングで彼が買ってたのも笑ったが、結構他にも購入した人がいるらしい。

私が買おうと思ったのは、決して売り上げを目的にしていないことがあらかじめわかっていたからである。

有料にしていたのは、個人的な事情を含むため、変な人に読んで欲しくない、という気持ちがあったからだそうである。実際に結構高めに設定されていた割には購入した人もそれなりにいて、決して感情的にデンマークをディスるような内容ではなく、丁寧に書かれた良質な記事で、コメントしていた人のほとんどが好意的な書き方だった。

 

そのポスト主の方は、5年契約でデンマークに移住し、当初は有期限とはいえ、それまでに複数の国を移転してばかりだったので流石に落ち着きたいと永住を考えていたらしい。

しかし、永住の厳しさの現実を認識するうちにデンマークに止まり続けることのリスクを感じ、そうなるとお子さんもいらっしゃるし住んでいるだけで色々と不利益になるので早々に転出を決意したそうである。

 

私も、デンマーク人と結婚しなければ、間違いなく永住しなかったと思う。

なかなかデンマークから出ることを決意できない理由があったからこそ、永住してデンマークのシステムや価値観、マインドセットに嵌るよう努力できた。

努力が嫌いだから、よっぽどの事情がない限り、頑張れなかったと思う。

 

特に日本人にとって最も厳しい現実は、デンマークでの雇用が決して安定していない、ことである。

能力に関係なく、理不尽なレイオフはよくある。

それは、隣国のスウェーデンやノルウェーに比べても、デンマークは厳しいらしい。逆に解雇が容易だからこそ、雇用も容易で、人材の流動性が高い、というメリットも大きいのだが。

実際、弊社でも先月末にトップの一人が解雇されたばかり。そして代わりの人が来月から入社する。16年半以上働いてきて、人の入れ替わりを嫌と言うほど見てきた。

 

これを、北欧礼賛の人は福祉システムが充実しているから解雇されても安心、と声高に言うけど、それも大きな誤解。

私の場合、失業保険の給付なんか、給料よりも全然少ないので、彼が移住してくる前、まだ娘が同居していた時に失業していたら経済的に行き詰まっていただろう。

いざとなったら、アパートを売ればいいというオプションがあったので、必ずしも生活が立ち行かなくなるという不安はなかったけど、それでも生活は一変するので、シングルマザーだったときは解雇の不安は常にあった。

 

じゃあ、なぜデンマーク人が冷静でいられるか、というと、突然の解雇ということがデンマークの文化として根付いていて、それが起きても仕方がないというマインドセットがあるから、だと思っている。

つまり、生活が一変したとしても仕方がないこととして受け止める感じ。

とはいえ、デンマーク人はリスクを軽減するために研鑽を怠らず、自分の役割がないと判断すれば水面下で転職活動し、仕事が決まればサクッと辞めるような気がする。

でも日本人は安定を求めたいから、なかなかそういうマインドセットになれないと思う。

わたしだっていまだにそれを完全受容できているわけではない。でも安定すると怠けることもわかっているから、緊張感がある方が自分のためにはいいと思うけど。

 

デンマークは楽園というイメージもあるみたいなので、ある意味厳しい現実を示したポストだったと思う。

日本交流イベント

奇しくも、三日連続で日本人との交流が続いた。

おとといは友達と食事、昨日はロスキレの研究所で知人とランチ、今日はデンマーク日本研究者の集まりに参加した。

 

友達もコンサルとしてバリバリに働いているので、結構共感できることが多くて楽しい。

彼女も固定給とはいえ、クライアントに対しては時間単価で働いているから、時間に対してシビアで、しばしば多少高くついても時間がかからない方を選択する、というのがにていて、だけど日本人は手間をかけても安くなる方を選ぶ人も多いから、そこでの齟齬が生まれることもあるよねーとか。

だけどマジで、その考え方が経済発展を阻んだ理由の一つと言ってもいいのでは?と思うことも多い。

そして彼女がデンマーク人のご主人以上に稼いでいるのは、それだけのコストに見合うだけの成果を出すべくコツコツやってきたからである。

 

昨日は、ロスキレの研究所で学生とミーティングしたかったので、急遽研究所にオフィスを持っている日本人の知人に声をかけてランチした。

彼には、サバティカルに来られる人に頼まれて、インターにお子さんを入れている駐在の方に紹介してもらい、そのお礼もしたかったこともあり。

日本の会社で働いていることもあり、駐在の方との交流も盛んで、久しくデンマークには駐在が少ないイメージがあったけど、今はエネルギー関係で駐在がまた結構来るらしいとのこと。まぁデンマークもかなり力を入れている分野だし。。

 

そして今日は、デンマーク日本研究者の集まりに。

プロジェクトで一緒に参加しているルーマニア人が主催していて、私に声をかけてくれたのである。

彼は日本に10年ほど住んでいたとかで日本との関わりがあり、初めて会ったのもこの集会で、その後桜祭りで再会し、挨拶する関係ではあったが、3年前にプロジェクトミーティングでまた再会したという。。。

なので、ルーマニアに関わりのある彼を紹介したいと、彼にもきてもらうことに。

 

ちょうど茶室を借りたいと東海大に連絡しようと思っていたら、東海大のプレゼンが。

この直後に、この人に声をかけて茶室のことを伺い、あいにく平日しか借りれないとのこと。でも一度使わせてもらいたいと思っていたので、改めて連絡することに。

 

講演は、以前のプロジェクトに少しだけ被ってて全くrelevantではないわけではないけど、あまりにも専門的すぎて興味が湧かず。。。

だけど、その関係でか、一時期実験を手伝ってもらったイタリア人のPhDにバッタリ、研究の話をした。

前回のデンマーク日本研究者集会も日本人研究者がほとんどいなかったと言われたけど、確かに趣旨からはだいぶ離れてきているかも、、と思った。

 

レセプションは大量の寿司とビールが。

 
参加費は無料で、日本学術振興会がフルでスポンサーになってくれている。
複雑な気持ちにも少しなったりした。
日本の学生には奨学金という名のローンを課しながら、一方で国際交流や外国人留学生にはファンドしている。
 
私と彼はたらふく食べて飲んで、お腹パンパンにさせて家に帰ってきた次第である。

聖書の会

ノルウェーで遊んでばかりのように見えるかもしれないが、デンマークでも結構バタバタしている。

 

去年の決算報告時期で、会社の年間財政は一昨年よりもだいぶ悪くなってしまい、社長ではないパートナーが解雇された。しかし私はまぁまぁ忙しくて、3つのプロジェクトに、一つクライアント仕事が入るかもしれず、見積もりのための調査と準備をしているのと、あとプロジェクトにはなるかはわからないけど簡単な試験をして先方のフィードバックを待っている。やっとiPadを買ったので、たまりに溜まった文献をダウンロードしてタブレットで読んでいる。

 

それに確定申告の時期なので、昨日年間納税書をチェックしたら、10万円ほどの還付金がもらえることがわかった。税率や株などの利益を全てチェックしたが、何の心当たりもなく、一つ思い当たるとしたら、税務局が予測する年収増加が私にはなかったということになるっぽい。。

多分、このインフレの時勢で年収アップも高めに設定したのだろう。

 

また昨日はアパートの総会があったが、去年と一変して参加者がえらく少なく、あっさりと終わった。今年も共益費をあげるのだけど、去年ほどには関心が持たれていないのか。

事前に我が家で役員会もあり、私たちの間ではすでに話し合いも十分にされていたこともあり。

アパートの前が駐車有料ゾーンに変わるかもしれないのだが、そうしても17時以降は誰もが駐車でき、しかも私たちが負担して看板を立てなければならないので、結局メリットがないのでは、という話にもなった。

 

そして昨日と今日は連続で聖書の会があった。

昨日は日本人とのオンライン会議でローマ書8章を読み、今日は地元教会の集まりでルカの1章のマリアの賛歌について語り合った。

 

ローマ書は、パウロが将来への希望を持って今の苦しみに耐えようというメッセージで、希望と言っても目に見えることではない希望で、それだけに苦しみに耐えるのは難しいねという話になった。

地元教会では、ただの貧しい少女でしかなかったマリアが大きな宿命を引き受けたことの凄さについて話し、私たちもまた一人一人違う役割を引き受けることになるんだろうね、と言い合った。

 

賛歌の聖句を読みながら、マリアは最初は未婚での妊娠に戸惑いながらも、喜びを持って自分の宿命を受け入れるが、私はなかなか不測の妊娠を、自分の人生を一変させる出来事だっただけにそうスムーズに受け入れられなかったなぁと思ったり、また最近は人の個性は努力とかではどうにも変えられないものなのかもしれないと思うようになって、それぞれ引き受けるものも違うのかもしれないなぁと思ったりした。

 

最近、「初恋ざらり」という知的障害者が主人公の漫画を少しだけ読んで、なんとも言えない気持ちになったのと、「努力できない」のではなく、「努力したくない」のでは、という呟きをみて考えさせられたのである。

そういえば、私は努力は嫌いだなぁ、と。でも、勉強は苦ではないというか、むしろ好きだったのであまり学校や仕事で困らなかったし、苦手な育児や語学の勉強は、楽しくなるように工夫することによって、「頑張る」ことを避けてきた。子供なんて嫌いだったから、子供と遊ぶのではなく、自分が遊べばいいじゃん?と、娘と創作にはまったりしてなんとか凌いだ。

でも、楽しみが得られにくく、いろんなことが苦行になってしまう人だったら大変だろうな、と。

 

ちなみに、牧師さんは、最近の子供の対応に困っているらしい。

今は、比較的遅く子供をつくるので、子供とは友達のような関係になる親が多く、それだけに大人に対してリスペクトしない子供が増えているそうだ。堅信式の準備でも、牧師を無視してうるさいのだそう。

ふむ、存在そのものを受け入れ愛するのも弊害になりうるのか。

なので、牧師さんはそれが自分の与えられた課題だと思ってると。

 

私も、不測の妊娠で全てを失い東京を離れ、挙句にデンマークまで来ちゃって永住までして帰化もしてなんという人生かと思ってたけど、これが私の運命なのか。私は私のやるべきことがあって、今こうしているのかなぁと。

楽しい集まりだった。

山スキー旅行

今回はノルウェーに元々来る予定ではなかったのだが、前回来たときに私の山スキーのスキルについてもまた険悪になったので、イースターでの長期のスキー旅行の前にまた練習したいということで急遽同じところに行くことになったのだった。

 
前回でもっと荷物が運べることがわかったので多めに運んだ。しかし、足りないものが発覚して彼がバンまで取りに行ったが急いでくれてたった駐車場まで往復17分で戻ってきたのだった。
今回はひたすら鶏肉と野菜をローストするだけ。ガーリックパンと粉のスープで手抜きの割にまともな食事に。
 
雪に関しては、1週間前とはまた一変していて、ずっと晴天続きで週末になって急激に気温が下がったせいかカチカチで、前回は重い雪でシールを付けなくてもウロコ板でちょっとした坂道も上れたのに、今回は逆滑りしやすかった。
なので上りは大変かもと戦慄を覚えたが、幸いシールをつければ雪にはしっかりついて登りやすかった。
 
しかし、雪が固くて、少しでも横にズレようとトラバースしようとすると板がひっかかってくれずズルズルと下に滑っていくのが怖かった。
しかも相変わらず上の視界は悪かったので、前回行ったところよりも少し上に行ったところでハイクモードからスキーモードにシフトして滑ることに。
少し緩斜面のところで滑ったら、むし固い雪がゲレンデっぽくまるで圧雪しているような斜面で滑りやすかった。
非圧雪でまだ攻略し切れていない私はボーゲンを駆使して下りるだけで終始する私も、今回初めてやっとスキーらしい滑降ができた。

 

楽しい斜面だったので一回登り返し。初めて山スキーでスキーが楽しい山行だった。
 
翌日は前日よりは視界が開けると聞いたので、もっと上を目指すことに。
しかし登り始めは変わらず上がガスっていたので、とりあえず彼が登った一番上のところまで目指してみることに。
前日よりもさらに気温は低く、雪はさらにカチカチ。
少しでも斜度を下げようと斜めにずれようとするとスキーの板が全面で接地せずかえって逆滑りしそうになるので、ほぼ直登で登る。いつもだったら怖い斜度だけど、踏みしめるようにして一歩一歩登っていった。
 

しかし登っていくうちに視界が開け、さらに上に登りたくなった。

 

誰かが作った隠れ家。なかなか凝った作り。

でも、風を防いだり暖を取るために居場所を作るのはいいアイデアだなと思ったし、モードをトランジションするときに平なところがなくて心もとなければシャベルで掘って平なところを作ればいいのか、とも思わされた。
 
 
調子に乗ってそのまま直登していたら斜度が限界を超えてしまい、トラバースする羽目に。それも板がささらず怖かったので、ザクザク耕しながら上を目指す。ここでまたガスってきてメンタルにも重くのしかかる。
標高1000m近くでいい感じの木が見え、そこでトランジションすることに。
 
木があるところで、シールを剥がしたり、ビンディングやブーツをスキーモードに変える作業するのが安心。スキーが流れていくのが一番怖いし、木の近くだと平らな場所が作りやすいのでスキーをはめるのが容易になる。
 
彼はもっと上まで登ってみたいというので、私一人でトランジションの作業。前回一人でトランジションの練習をしていてよかった。それまでは結構彼に頼っていたので。
しかし、彼は滑ってくる途中で転んだらしい。ピッケルがなければもっと下まで滑落していたかもしれないとのこと。
何が原因で転んだかわからないが、わかりにくい障害物があるのも自然の山ならではである。
 
二人でスキーで降りるときに、もっと緩斜面に行こうとトラバースしたら横にずれすぎて、気がついた時には戻るのにちょっとした谷になっておりヒヤッとした。これもまた山ならでは。
その谷には沢が流れていて、一部はかなり雪がなくなって大きな窪みになっており、落ちたらたまらんと、その近くをトラバースするのがものすごく怖かった。
しかしそれも山ならでは。流石に前日ほどスキーを楽しむ気持ちの余裕はなく、下に降りてきた時にはほーっとした。
彼にとっては、この下界に下りてきた時のホッとする気持ちが病みつきになるという。

 

またもや頂上には行けなかったけど、やり切った感。。。

 

一度目はモナカ雪、前回は湿った重い雪、今回はカチカチ雪と同じ山でも雪質も気候も違って、登り方も変えなければならなかったのでいい経験になった。

この時勢だし、自力で登るサステンナブルスキーハマるかも。

またノルウェー

またまたノルウェー。

でも不思議とお腹いっぱいにならない。というか、こんなに頻繁に来て、こうも毎回、気候も雪質も変わるのか。

今回も盛りだくさんの週末だった。

 


衝突

最高の週末だったはずなのに、月曜日は険悪になった。

日曜日にスウェーデンで泊まり早朝に出てデンマークに戻る途中、私の不用意な一言で彼が機嫌を悪くしたのである。

 

私は、早く出勤したかったので、とりあえずアパートまで帰り、荷物運びは勤務後にして私の車も一緒にバンをとめているところまで行き、バンをとめて一緒に出勤することを考えていたのだが、彼はそれを私がバンをとめているところからアパートまで歩くことも面倒くさがっているように聞こえ、そもそもなんでこんなことまでしてバンを持っているんだろうと思ってしまったらしい。

初期投資もまぁまぁかかっているがそれ以上に、環境税を半年ごとにものすごく払わされている。

それなのに、車中泊をするために7m近くも長さがある大きなバンを買ったにもかかわらず、最近はずっと宿に泊まっていてバンを活用し切れていない。アパートだから断熱の作業もままならず、宝の持ち腐れ状態になってしまっている。

今までも私たちの喧嘩は大体、家を買う買わないの願望の違いが原因になるが、今回もまた、アパートがゆえにバンを所有することの難しさを再認識し衝突に至った。

 

もともとわたしは一軒家に住んでいる経験があるため、初期投資はほぼ回収できるからいいとしても、維持費や税金、光熱費がどれだけかかるのかがわかっており、バンをとめるためのスペースと、作業部屋を確保するためだけに一軒家を買うのはどうも気が進まなかった。

そしたら彼が移住した翌年にコロナ禍になり不動産が高騰した上、2022年にはウクライナの戦争が始まってエネルギー費が高騰し、挙句に金利も上がって住宅ローンが高くなり、そしてさらに今年からは固定資産税も上がることになり、ますます一軒家をもつことの敷居があがりペンディングしていた。

 

しかし、どんどんものは増え、もはや娘が泊まりに来る部屋も物であふれかえっている状態で、そろそろ限界になってきた。

どうしても必要な作業は、地下室の私たちの荷物置き場のわずかなスペースか、キッチンでやるか。騒音を気にしてパワーツールは使えず、完全にマニュアルの道具で地道にやるしかなく。

そして出かけるたびに、バンを移動させてものを地下室から運び、準備するだけで1時間はかかるので彼にとっても負担が重くなってきたようだ。最近は特に頻繁に出かけているのでうんざりもしてきただろう。

 

やっぱり家が欲しいと言ってきたのだった。自分一人で買える範囲でも、と。

しかし、彼がいくら高級どりと言っても、初めての不動産購入となるとローンも厳しく審査されるし、その場合安い不動産でも融資してくれるとは限らない。安い不動産は、その分将来価値を下げるリスクが高いからである。

それに仮に彼が自力で家を購入できたとしても、そうなったら別居生活は避けられない。そしたら私が一人でアパートを所有する意義もなくなってくる。

 

そう、今までも結局この堂々巡りだった。

彼は家が欲しい、私はあまり興味はない。これに二人とも納得できる解はないからである。

 

そしたら、彼は、今まではバンをとめられるかを懸念して食指が動かなかったテラスハウスでもいい、と譲歩してきたのだった。

私もテラスハウスだったら買ってもいいかも、と思った。

すごく安くはないけど、一軒家に比べれば値段も税金も安い。概ね総敷地もだいぶ小さいので土地にかかる固定資産税もだいぶ安くなる。そして私たちが希望する中の面積90-100m2くらいの家も大体テラスハウスだったりする。

庭に興味ないのに一軒家だと敷地が500m2以下なのがあまりなく、税金だけでかなりかかってしまうのである。

なのでバンがとめられそうであればテラスハウスでもいい、ということで新たに探すことを決めたのだった。

 

これもなかなか難しいけど、まだ互いに歩み寄ることができているからいいのかなと思った。

最初の結婚では、私が意見を言えるような関係では全くなかった。嫌だった島根への移住も有無を言わさずであった。

まぁ、自分の思い通りにすることが一番簡単だったかもしれないが、その分私の不信感と不満は蓄積していき、結果私も相手を慮ることがなくなりデンマークのポストへのアプライを許可を取ることなしにしたのだけど。

 

とりあえず光明は見えてきたような気がする。

最高の週末(3)

 

しかし、一番楽しかったのはやはりノルウェー在住の日本人夫妻との団らんだった。

かなりインテリなご夫妻で、私たちとは一回り以上離れている、奥様とは二回り近く離れているにもかかわらず、刺激を受けることが多かった。娘のほうが近いなんて信じられないほど。

 

なんでも、ご主人のほうは地球工学を専攻されていたそうで、アカデミックにも自然への造詣が深く、もともとスキーから入ったのではなく、登山の延長で山スキーを始められたとか。

彼も30代半ばでスキーを始めて、すぐに山スキーにシフトしたので似ている。

わたしも、スキーへの興味は競技としてではなく、山が好きというのをモチベーションにしているので、共感できることが多い。運動神経もよくないからなかなかスキーも上達しないし、山が好きじゃなければ誰が好き好んで山スキーなんてやるのか。

 

なので、ノルウェーに移住して最初は日本の地形との違いに落胆することもあったようだが、すぐにノルウェーの地形に順応し、結果クロカンをはじめ、今シーズンからはバックカントリークロカン(エッジがついた板)を始めたそうである。

駐在している間に一度は行くべきだと説得されてアルプスにも行ったが、景色はダイナミックで美しいが、スキー自体はそれほど面白いと思わなかったという。

うん、それはわたしも思っていて、ゲレンデが平ならどこもそう大差ないかな、と。やはり景色が良かった白馬もスキーは全然楽しくなく。それにわたしたちは夏にさんざんアルプスにいっているので、景色をみたいという願望もそれほどなく。それでも一度は行ってみたいけど。

 

山スキーの面白さは、細かいアップダウンや細かい斜度の変化を、どのように攻略していくか、なのである。

特にノルウェーは、夏のハイキングでもトレイルが割と自然の状態に近く、アルプスと違って全然平でないので、歩くのにいちいち考えなければならず、それが楽しかったりする。

奥様のほうは一人でハイキングしたときに、平らなところだーと思ったら思い切り湿地帯で50cm以上深みに嵌ったという。ノルウェーあるあるである。

 

今回は短いアップダウンでシールのつけはなしも面倒くさくなってしまい、シールなしでアップダウンをやってみたけど、シールをつけないとちょっとした斜度でも滑って登れなくなるので、細かくまきながらなんとか登っていくという行き方も練習して楽しかった。

 

BCクロカンだともっと上り下りがラクな感じ。板が軽いだけに。さすがノルウェーの地形にあったギアなだけある。

逆に、ただのクロカンの板だと、非整地はかなり難しいらしい。エッジがないからブレーキもないし、ちょっとでも重心が傾くとすぐに雪にとられてしまうらしく。

しかし、BCクロカンだと踵が固定されていないので、下りを滑るのはやはりトリッキーで、近くのゲレンデで滑る練習をしているとか。テレマークまではいかないけど、ターンできるようになってきたそう。  

 

また、日本の山岳会で冬季でも山にテントを張って、そこを拠点に山スキーしていたので、来月になればテント泊も考えているという。山岳会では、バックパックだけの移動であるにもかかわらず、食べ物もお酒も楽しむスタンスだったので、ご主人は90Lのバックパックで山スキーしていたそうである。凄すぎる。。。でも、山でも食べることを惜しまない考え方は好きである。

私たちもホテルを利用しすぎて大きいバンを持つことの意義を失いつつあり、やはりもっと車中泊するべきだねと話しているのだが、もっと水や燃料を持ち込んで完全にファシリティに頼らず、だけど自炊もする旅行も楽しいかもしれない。

最高の週末(2)

2週間前と同じ山小屋滞在での山スキーだったが、今回は今回で色々と収穫があった。

 

<スキー>

ずっと気温が高めで下界では雨、山ではみぞれが降っていたせいか、2週間前は表面がカチカチのモナカ雪だったのが、今回はかなり重い雪が積もっていて、雪質が一変していたのだった。

おかげで抵抗があって登りやすく、その代わり滑り降りるのはトリッキーなコンディションだった。しかも相変わらず視界は悪かった。

そのため彼は今回は一度もシールを使わず、ウロコ板で森林限界のあたりまで登り、滑っては登り返しをした。私は、一度はシールで森林限界近くまで登ったが、いっそのことこういう雪質の時にシールなしでウロコ板で登り降りする練習をしようと、登り返しからは彼と別行動で、私は一人で下の方の斜面でループを繰り返した。

 

よかったのは、プチソロ山スキーができたことである。一応彼からは常に私の姿は見えているという安全状態で。

いつも彼のトレースをそのまま辿るだけだったので、どのように進むべきか全く考えずついていくだけだったが、今回は微妙な斜度の違いを見極めながら自分でどの方向で登るか、どのあたりでターンをするべきか考えながら登れたのと、ハイクモードからスキーモードの切り替えも彼に頼っていたけど、一人でスキーを外してビンディングのモードを変えて平らなところにスキー板を置き、ツボ足でスキー板をはめる練習を何度もできたのがよかった。

 

ただ、二日目に、スキーモードに変えていたらものすごく視界が悪くなり、このまま帰ろうと彼を大声で呼んだが、なかなか返答してくれず、彼のウェアは保護色で認識しづらいうえ上の方は真っ白だし、何か起きたのかと気が気ではなく、万が一の場合はどうするべきなのか、全くわからず立ち往生した。

実はその時に、彼のビンディングのネジが2本取れてなくなってしまっていたため、とてもグラついており、残りの2本でせめてもので対極線になるように付け直していたりして対応に忙しくしていたらしい。ビンディングが取れたらジ・エンドなので、彼は彼でものすごく焦ったと。

しばらくしたら声が聞こえてきてホッとしたが、後になって、何か起きた場合にはビーコンのシグナル送信モードから受け取りモードに変え、表示を頼りに探しに行くべきだろうね、とのこと。ビーコンを携帯しながら、実際にどのように使えばいいのかわかってなかったので、雪崩講習なりトラブル対処の講習は受けたいと思った。2週間前に遭遇したノルウェー人高校生のグループのように。あと、トランシーバーのようなものも欲しいと思った。

 

しかしまさにこういうこと、一人で対処する、という訓練が私にはまだまだ必要だと思った。

 

シールで登って、スキーモードに切り替えしている時。私はまだもたつく。

 

<料理>

今回は、家で試作したラザニアを作ろうと、材料を持参した。茄子はなかったのでズッキーニを、肉はないのでツナ入れるけど食感的にいいかなとキドニービーンズも追加。

 

まず薄く切ったズッキーニだけをアルミ容器に入れロースト。油をかけたかったけどなかったので、ツナ缶の油を振りかけてオーブンに。思ったよりも火力が強く、すぐに焦げ目がついたので引き上げたが、結果的には柔らかくなるほどではなかったのでもっと火にかけてもよかったかも。

 

ズッキーニの上に、トマト缶、豆、玉ねぎとニンニクの微塵切り、ブイヨンをまぜ、ラザニアを割り入れた。

 

20分ほどオーブンにかけた後、ツナとチーズをかけて10分。
ズッキーニがちょっと固めだったけど生煮えという感じでもなかったし美味しかった。フライパンを使わないのだったらナスよりもいいかもしれない。キドニービーンズも加えてよかった。肉がないと豆は入れたいという感じ。
美味しかったので、家で普通に作りたいかも。その場合はナスをあらかじめフライパンで素揚げしたいけど。
 
<山小屋>
 
しかし、オーブンがある山小屋は珍しいらしい。
このキッチンはかなり大きく、カトラリーや食器、キッチン道具などかなり充実している方だという。
うん、私もまさかこれだけのファシリティがあるとは思ってなかったので前回はお湯を注ぐだけのレトルトフードを持参したわけだが。でも、やっぱり調理して食べる方がいい。
合流されたノルウェー在住夫妻は、ひき肉とお湯だけで作れる料理の素を使ってタコスリゾットを作ってくれたが、それも美味しかった。ノルウェーのスーパーには、デンマークでは見かけないそういう料理の素がそれなりのバリエーションで売られている理由もやっと理解した。鍋だけで作れるものの需要があるのだろう。
 
  
3グループが料理してもこの片付け具合。水道インフラがないにもかかわらず。
セルフキャビンの割にやたら綺麗だなと思ったけど、こういうところに来るくらいだからきちんとしている人が多いのだろうなと思った。
特に冬は歩くのも無理、普通のスキー板でも来られないところだし、クロカンか山スキーで来るしかなく、本当に自然が好きな人しか来ない。
 
朝電気がつかなかったので、おおーついにバッテリーが切れたかと思ったら、主電源が切れていただけだった。
太陽光パネルと付属バッテリーがあるだけで、最近はずっと天気が悪かった割に照明だけだと意外に持つものなんだなと思った。
 
清掃してガスの元栓を閉め、鍵を施錠して出て行こうとしたら、キャビンを見に来る人が。チェックに来たという。
もしかすると日曜日の午後は誰かがチェックしに来るのかもしれない。
まぁセルフキャビンだし、そりゃそうか。。
 
ちなみに、予約せずに泊まることは結構普通らしい。そのノルウェー在住夫妻も予約しないで来てくれたのだった。