衝突 | いまのしゅんかん

衝突

最高の週末だったはずなのに、月曜日は険悪になった。

日曜日にスウェーデンで泊まり早朝に出てデンマークに戻る途中、私の不用意な一言で彼が機嫌を悪くしたのである。

 

私は、早く出勤したかったので、とりあえずアパートまで帰り、荷物運びは勤務後にして私の車も一緒にバンをとめているところまで行き、バンをとめて一緒に出勤することを考えていたのだが、彼はそれを私がバンをとめているところからアパートまで歩くことも面倒くさがっているように聞こえ、そもそもなんでこんなことまでしてバンを持っているんだろうと思ってしまったらしい。

初期投資もまぁまぁかかっているがそれ以上に、環境税を半年ごとにものすごく払わされている。

それなのに、車中泊をするために7m近くも長さがある大きなバンを買ったにもかかわらず、最近はずっと宿に泊まっていてバンを活用し切れていない。アパートだから断熱の作業もままならず、宝の持ち腐れ状態になってしまっている。

今までも私たちの喧嘩は大体、家を買う買わないの願望の違いが原因になるが、今回もまた、アパートがゆえにバンを所有することの難しさを再認識し衝突に至った。

 

もともとわたしは一軒家に住んでいる経験があるため、初期投資はほぼ回収できるからいいとしても、維持費や税金、光熱費がどれだけかかるのかがわかっており、バンをとめるためのスペースと、作業部屋を確保するためだけに一軒家を買うのはどうも気が進まなかった。

そしたら彼が移住した翌年にコロナ禍になり不動産が高騰した上、2022年にはウクライナの戦争が始まってエネルギー費が高騰し、挙句に金利も上がって住宅ローンが高くなり、そしてさらに今年からは固定資産税も上がることになり、ますます一軒家をもつことの敷居があがりペンディングしていた。

 

しかし、どんどんものは増え、もはや娘が泊まりに来る部屋も物であふれかえっている状態で、そろそろ限界になってきた。

どうしても必要な作業は、地下室の私たちの荷物置き場のわずかなスペースか、キッチンでやるか。騒音を気にしてパワーツールは使えず、完全にマニュアルの道具で地道にやるしかなく。

そして出かけるたびに、バンを移動させてものを地下室から運び、準備するだけで1時間はかかるので彼にとっても負担が重くなってきたようだ。最近は特に頻繁に出かけているのでうんざりもしてきただろう。

 

やっぱり家が欲しいと言ってきたのだった。自分一人で買える範囲でも、と。

しかし、彼がいくら高級どりと言っても、初めての不動産購入となるとローンも厳しく審査されるし、その場合安い不動産でも融資してくれるとは限らない。安い不動産は、その分将来価値を下げるリスクが高いからである。

それに仮に彼が自力で家を購入できたとしても、そうなったら別居生活は避けられない。そしたら私が一人でアパートを所有する意義もなくなってくる。

 

そう、今までも結局この堂々巡りだった。

彼は家が欲しい、私はあまり興味はない。これに二人とも納得できる解はないからである。

 

そしたら、彼は、今まではバンをとめられるかを懸念して食指が動かなかったテラスハウスでもいい、と譲歩してきたのだった。

私もテラスハウスだったら買ってもいいかも、と思った。

すごく安くはないけど、一軒家に比べれば値段も税金も安い。概ね総敷地もだいぶ小さいので土地にかかる固定資産税もだいぶ安くなる。そして私たちが希望する中の面積90-100m2くらいの家も大体テラスハウスだったりする。

庭に興味ないのに一軒家だと敷地が500m2以下なのがあまりなく、税金だけでかなりかかってしまうのである。

なのでバンがとめられそうであればテラスハウスでもいい、ということで新たに探すことを決めたのだった。

 

これもなかなか難しいけど、まだ互いに歩み寄ることができているからいいのかなと思った。

最初の結婚では、私が意見を言えるような関係では全くなかった。嫌だった島根への移住も有無を言わさずであった。

まぁ、自分の思い通りにすることが一番簡単だったかもしれないが、その分私の不信感と不満は蓄積していき、結果私も相手を慮ることがなくなりデンマークのポストへのアプライを許可を取ることなしにしたのだけど。

 

とりあえず光明は見えてきたような気がする。