最高の週末(3) | いまのしゅんかん

最高の週末(3)

 

しかし、一番楽しかったのはやはりノルウェー在住の日本人夫妻との団らんだった。

かなりインテリなご夫妻で、私たちとは一回り以上離れている、奥様とは二回り近く離れているにもかかわらず、刺激を受けることが多かった。娘のほうが近いなんて信じられないほど。

 

なんでも、ご主人のほうは地球工学を専攻されていたそうで、アカデミックにも自然への造詣が深く、もともとスキーから入ったのではなく、登山の延長で山スキーを始められたとか。

彼も30代半ばでスキーを始めて、すぐに山スキーにシフトしたので似ている。

わたしも、スキーへの興味は競技としてではなく、山が好きというのをモチベーションにしているので、共感できることが多い。運動神経もよくないからなかなかスキーも上達しないし、山が好きじゃなければ誰が好き好んで山スキーなんてやるのか。

 

なので、ノルウェーに移住して最初は日本の地形との違いに落胆することもあったようだが、すぐにノルウェーの地形に順応し、結果クロカンをはじめ、今シーズンからはバックカントリークロカン(エッジがついた板)を始めたそうである。

駐在している間に一度は行くべきだと説得されてアルプスにも行ったが、景色はダイナミックで美しいが、スキー自体はそれほど面白いと思わなかったという。

うん、それはわたしも思っていて、ゲレンデが平ならどこもそう大差ないかな、と。やはり景色が良かった白馬もスキーは全然楽しくなく。それにわたしたちは夏にさんざんアルプスにいっているので、景色をみたいという願望もそれほどなく。それでも一度は行ってみたいけど。

 

山スキーの面白さは、細かいアップダウンや細かい斜度の変化を、どのように攻略していくか、なのである。

特にノルウェーは、夏のハイキングでもトレイルが割と自然の状態に近く、アルプスと違って全然平でないので、歩くのにいちいち考えなければならず、それが楽しかったりする。

奥様のほうは一人でハイキングしたときに、平らなところだーと思ったら思い切り湿地帯で50cm以上深みに嵌ったという。ノルウェーあるあるである。

 

今回は短いアップダウンでシールのつけはなしも面倒くさくなってしまい、シールなしでアップダウンをやってみたけど、シールをつけないとちょっとした斜度でも滑って登れなくなるので、細かくまきながらなんとか登っていくという行き方も練習して楽しかった。

 

BCクロカンだともっと上り下りがラクな感じ。板が軽いだけに。さすがノルウェーの地形にあったギアなだけある。

逆に、ただのクロカンの板だと、非整地はかなり難しいらしい。エッジがないからブレーキもないし、ちょっとでも重心が傾くとすぐに雪にとられてしまうらしく。

しかし、BCクロカンだと踵が固定されていないので、下りを滑るのはやはりトリッキーで、近くのゲレンデで滑る練習をしているとか。テレマークまではいかないけど、ターンできるようになってきたそう。  

 

また、日本の山岳会で冬季でも山にテントを張って、そこを拠点に山スキーしていたので、来月になればテント泊も考えているという。山岳会では、バックパックだけの移動であるにもかかわらず、食べ物もお酒も楽しむスタンスだったので、ご主人は90Lのバックパックで山スキーしていたそうである。凄すぎる。。。でも、山でも食べることを惜しまない考え方は好きである。

私たちもホテルを利用しすぎて大きいバンを持つことの意義を失いつつあり、やはりもっと車中泊するべきだねと話しているのだが、もっと水や燃料を持ち込んで完全にファシリティに頼らず、だけど自炊もする旅行も楽しいかもしれない。