いまのしゅんかん -6ページ目

最高の週末(2)

2週間前と同じ山小屋滞在での山スキーだったが、今回は今回で色々と収穫があった。

 

<スキー>

ずっと気温が高めで下界では雨、山ではみぞれが降っていたせいか、2週間前は表面がカチカチのモナカ雪だったのが、今回はかなり重い雪が積もっていて、雪質が一変していたのだった。

おかげで抵抗があって登りやすく、その代わり滑り降りるのはトリッキーなコンディションだった。しかも相変わらず視界は悪かった。

そのため彼は今回は一度もシールを使わず、ウロコ板で森林限界のあたりまで登り、滑っては登り返しをした。私は、一度はシールで森林限界近くまで登ったが、いっそのことこういう雪質の時にシールなしでウロコ板で登り降りする練習をしようと、登り返しからは彼と別行動で、私は一人で下の方の斜面でループを繰り返した。

 

よかったのは、プチソロ山スキーができたことである。一応彼からは常に私の姿は見えているという安全状態で。

いつも彼のトレースをそのまま辿るだけだったので、どのように進むべきか全く考えずついていくだけだったが、今回は微妙な斜度の違いを見極めながら自分でどの方向で登るか、どのあたりでターンをするべきか考えながら登れたのと、ハイクモードからスキーモードの切り替えも彼に頼っていたけど、一人でスキーを外してビンディングのモードを変えて平らなところにスキー板を置き、ツボ足でスキー板をはめる練習を何度もできたのがよかった。

 

ただ、二日目に、スキーモードに変えていたらものすごく視界が悪くなり、このまま帰ろうと彼を大声で呼んだが、なかなか返答してくれず、彼のウェアは保護色で認識しづらいうえ上の方は真っ白だし、何か起きたのかと気が気ではなく、万が一の場合はどうするべきなのか、全くわからず立ち往生した。

実はその時に、彼のビンディングのネジが2本取れてなくなってしまっていたため、とてもグラついており、残りの2本でせめてもので対極線になるように付け直していたりして対応に忙しくしていたらしい。ビンディングが取れたらジ・エンドなので、彼は彼でものすごく焦ったと。

しばらくしたら声が聞こえてきてホッとしたが、後になって、何か起きた場合にはビーコンのシグナル送信モードから受け取りモードに変え、表示を頼りに探しに行くべきだろうね、とのこと。ビーコンを携帯しながら、実際にどのように使えばいいのかわかってなかったので、雪崩講習なりトラブル対処の講習は受けたいと思った。2週間前に遭遇したノルウェー人高校生のグループのように。あと、トランシーバーのようなものも欲しいと思った。

 

しかしまさにこういうこと、一人で対処する、という訓練が私にはまだまだ必要だと思った。

 

シールで登って、スキーモードに切り替えしている時。私はまだもたつく。

 

<料理>

今回は、家で試作したラザニアを作ろうと、材料を持参した。茄子はなかったのでズッキーニを、肉はないのでツナ入れるけど食感的にいいかなとキドニービーンズも追加。

 

まず薄く切ったズッキーニだけをアルミ容器に入れロースト。油をかけたかったけどなかったので、ツナ缶の油を振りかけてオーブンに。思ったよりも火力が強く、すぐに焦げ目がついたので引き上げたが、結果的には柔らかくなるほどではなかったのでもっと火にかけてもよかったかも。

 

ズッキーニの上に、トマト缶、豆、玉ねぎとニンニクの微塵切り、ブイヨンをまぜ、ラザニアを割り入れた。

 

20分ほどオーブンにかけた後、ツナとチーズをかけて10分。
ズッキーニがちょっと固めだったけど生煮えという感じでもなかったし美味しかった。フライパンを使わないのだったらナスよりもいいかもしれない。キドニービーンズも加えてよかった。肉がないと豆は入れたいという感じ。
美味しかったので、家で普通に作りたいかも。その場合はナスをあらかじめフライパンで素揚げしたいけど。
 
<山小屋>
 
しかし、オーブンがある山小屋は珍しいらしい。
このキッチンはかなり大きく、カトラリーや食器、キッチン道具などかなり充実している方だという。
うん、私もまさかこれだけのファシリティがあるとは思ってなかったので前回はお湯を注ぐだけのレトルトフードを持参したわけだが。でも、やっぱり調理して食べる方がいい。
合流されたノルウェー在住夫妻は、ひき肉とお湯だけで作れる料理の素を使ってタコスリゾットを作ってくれたが、それも美味しかった。ノルウェーのスーパーには、デンマークでは見かけないそういう料理の素がそれなりのバリエーションで売られている理由もやっと理解した。鍋だけで作れるものの需要があるのだろう。
 
  
3グループが料理してもこの片付け具合。水道インフラがないにもかかわらず。
セルフキャビンの割にやたら綺麗だなと思ったけど、こういうところに来るくらいだからきちんとしている人が多いのだろうなと思った。
特に冬は歩くのも無理、普通のスキー板でも来られないところだし、クロカンか山スキーで来るしかなく、本当に自然が好きな人しか来ない。
 
朝電気がつかなかったので、おおーついにバッテリーが切れたかと思ったら、主電源が切れていただけだった。
太陽光パネルと付属バッテリーがあるだけで、最近はずっと天気が悪かった割に照明だけだと意外に持つものなんだなと思った。
 
清掃してガスの元栓を閉め、鍵を施錠して出て行こうとしたら、キャビンを見に来る人が。チェックに来たという。
もしかすると日曜日の午後は誰かがチェックしに来るのかもしれない。
まぁセルフキャビンだし、そりゃそうか。。
 
ちなみに、予約せずに泊まることは結構普通らしい。そのノルウェー在住夫妻も予約しないで来てくれたのだった。

最高の週末

天気はイマイチだったけど、実りも多く、ノルウェー在住の山スキー好き夫妻が飛び入り合流してきて最高の週末だった。

 

念願だった野外抹茶。雪が落ちてきてぬるくなったけどこれも雪山の醍醐味。

 

一度シールで登って滑って一休みしてからは彼とは別々に下の斜面でひたすらシールなしウロコ板での登り滑りの練習。いつも彼と一緒で、一人で山スキーをするのは初めてだったので、いい経験になった。

 

ラザニア大成功。合流した子のリゾットも美味しかった。

話も盛り上がった。山談義尽きず。

 

シールで登ってるとき。

ノルウェー再び


 

ここに来るの4度目だけど、モーテルでアスファルト見るの初めて。雪がない。。オーナーは春が来たと喜んでいたが。

明日山小屋に行くけど、景色が一変してそう。。

冬が終わって欲しくない我々は複雑な心境である。

ま、今回は自炊にもトライする予定だし、新たな経験もできそうなので楽しみだが。。

君たちはどう生きるか

 

娘と彼と3人で、ジブリ映画「君たちはどう生きるか」を劇場まで観に行ってきた。

アニメだけど子供向け映画ではなく、吹き替えは全くなく字幕のみ。

始まる前の映画の宣伝は子供向け映画のみのような感じだったが。(で、「カンフーパンダ4」を観に行く気満々になるという。。娘は吹き替えではない英語バージョンで観たいそうだ。)

 
宮崎駿作品は「風立ちぬ」以来とか。

 

 

これもデンマークの劇場で観に行ったけど、今回ほど劇場は多くなかったような。

もう10年前か。。こないだ久しぶりに再会した友達も一緒に行ったんだった。。

この映画で飛行機に興味を持ち、その3年後に航空工学を専門としていた彼に出会うことになるとは。

 

「風立ちぬ」も太平洋戦争の時代背景だったが、「君たちはどう生きるか」はいきなり大火災の場面から始まり、思い切り戦争をテーマにした映画かと思ったが、実際にはかなり毛色の異なる映画だった。

 

知らなかったけど、宮崎駿自身のバッググラウンドがかなり反映されているらしく、実際に航空機部品を作る会社の子供として生まれ、戦時中に栃木に工場ごと移転したという。そしてかなり裕福な暮らしをしていたとも。そして子供の頃から実母が病気で長期に渡って寝たきりだったとか。

物質的には何も不自由してないが、母親の愛情には飢えていた自分を投影させた主人公のキャラクターを作ったのかもしれない。

戦時中の設定にもかかわらず、陰惨さは皆無で、なのに悲壮感に溢れている。まるで現代の子供のよう、とも思った。

 

 
私はこのバズったポスターが大好きなのだが、この映画でも英語やデンマーク語のタイトルにもあるように、アオサギがキーパーソンである。もちろん「詐欺」を意味しており、嘘ばっかりつく鳥として出てくる。だけどこのアオサギがまた憎めないキャラクターで、結果的に主人公が行動することの動機を与え続ける。
 
そして導かれた「下の世界」は、生きている人のいない世界だけど、実はそれこそが現実を写しているのでは?と思ったりした。
赤ちゃんとして生まれるはずの魂を食べてかろうじて生きているペリカンが、全くファンタジーに思えず。消費エネルギー量が激増している現代において、あまりにも皮肉な投影に見えてならなかった。
 
そういう悪意に満ちた世界を経て、悪意の汚れのないブロックを前に、主人公が自分自身の悪意を認めたことはすごいなと思った。
美しい天国にとどまるのではなく、苦しいことも多い現実社会で自分は生きていくと決意したところが感動的な場面だった。
 
私の好きな「もののけ姫」もそうだけど、人間の醜さも悲観的にではなく淡々と事実として描きながら、その中で希望も示唆するのが宮崎駿作品のいいところだと思う。
 
日本では賛否両論の映画だったらしいが、私は結構楽しめる映画だった。

子供の言語教育

よくお邪魔するブログで、言語教育に関するポストをされていて、努力するという姿勢が、外部からの強制によって養われるかは懐疑的と書かれていて、本当にその通りだと思ったのだが、奇しくもそれについて考えさせられることがあった。

 

デンマークにサバティカルに来たことのあるアカデミアの知人からメッセージがきて、この夏から一家4人でデンマークに一年間サバティカルに来られる人がいて、特に小学生のお子さんの教育に関して不安があるようなので、紹介してもいいだろうかとお願いされたのである。

その不安はよくわかるので了承したが、一年間の滞在で小学生を帯同させていた人をほとんど知らず、正直お手伝いできるのだろうかと思った。

 

一度、10年くらい前だったか、同じコムーネに住む日本人夫妻と知り合い、半年の滞在だけれど、小学一年生になったばかりの一番上の子がずっと家にいるのもかわいそうということで、就学の可能性を知るために一緒に市役所に付き添ったことがある。結局、ミーティングを経て、たまたま外国人クラスに空きがあるからということで、数か月間通えることになった。

デンマークは、デンマーク語を解さない子供の公立小学校への就学は難しく、かといって外国人クラスはすべての小学校にあるわけではなく、限られたキャパしかないので、運がよかったと言える。

 

ちなみに、うちの娘は、デンマークに移住したときに3歳だったけれど、半年間保育園でまったくコミュニケーションができず、いつも独りぼっちで心傷んだ。半年後にコムーネから外国人向けのクラスをアレンジしてもらい、週に二度、タクシーの送迎付きで外国人クラスに通い、少しずつボキャブラリーを増やしていき、移住一年後にやっとコミュニケーションができるようになった。

インテリジェンスは問題なかったが、まだ言語に障壁があるということで小学校の入学は一年待ち、さらに小学1年生のときには、言語アシスタントもつけてもらった。

 

3歳からデンマークで育った娘でさえ、それくらいクリティカルに対応されたので、デンマークの小学校はかなり難易度が高いと思っていたのである。

永住の可能性がある子供に関しては、たとえデンマークネイティブでなくとも公立小学校の普通学級に入れるし、実際そのケースも知っているけど、低学年でも相当苦労していたと聞いている。

 

なので、外国人の就学についてざっと調べ、すぐにコペンハーゲンコムーネのサイトをみつけ、さらにインターナショナルスクールのリストもあったので送ったら、どうもわたしが思っていたのとは異なり、やむをえず就学させるための可能性を探るのではなく、子供の英語教育と国際交流の経験のためにインターに入れたいが、インターといってもいろいろあってそれぞれの特徴を知りたく、内情を知っているひとがいたら紹介してほしいとのことだった。

あいにくわたしはインターに通わせている人をまったく知らないので、駐在の人に繋がってそうな友人や知人にあたり、紹介してもらうことにした。

 

しかし人に聞きながら知ったのは、デンマークのインターは、あまり空きがないこと、そしてインターであっても、英語の素地のない子供にとってはかなり過酷であろうとのこと、であった。

さらにフェイスブックのエキスパットグループにいる夫いわく、インターは学費も滅茶苦茶高いから、大概会社もちで自腹を切るひとはあまりいないだろうという。今はデンマークから出て行った夫の元上司も子供をコペンのインターに通わせていたが、その夫妻が英語ネイティブで、元上司がかなりの高給どりだった。

 

そして、さらに情報をいただいたのだが(ありがとうございます!!)、日本人駐在の方が子息を就学させる一般的なインターがあるという。大体空きがあり、英語力をそれほど問われず入りやすい学校だとか。おそらく英語力のフォローもあるかもと。ただ、学費が高額で、だからこそ敬遠されるのだろうと。

好奇心でざっと調べてみたら、年間137.000DKK、今円高だから特に高くて300万円、、、、これが本当だとしたら確かに高い。。。だけど、もし本当に英語の素地のない子供のフォローが万全だとしたら、その高額な学費も理解できる。

 

とはいえ、実は最初の夫も、1年間のサバティカルで家族皆でバイリンガルになれるという夢を持っていたし、ましてや子供だったら言語の習得は早いから簡単だろうと思ってたし、インターで英語教育させたいという気持ちはわからなくはない。

ただ、私もデンマークが長くなって、日本人の環境にお任せしがちな教育に対する考え方からは、私自身が変わってきたのかもしれない。

もちろん、親がきっかけを与えることはいいことだと思う。

だけど、「いい経験」というのは、必ずしも自動的に得られるものではなく、時には大きな困難と障壁がセットになることもあるし、だからこそ壁を乗り越えるからこそ大きな学びが得られるのだと思っている。

オーブン実験

今週末また山小屋に行く予定なので、オーブンだけを使う料理をやってみた。

オーブンだけだと、使い切りのアルミの容器を使えばいいので、洗い物も少なくて済む。               

 
まず、薄切りにしたナスに油をふりかけて容器に敷く。

 

それに、トマト缶、ラザニア、玉ねぎとニンニクのみじん切り、ブイヨンを混ぜてナスに絡ませる。

しかし、茄子のボリュームがありすぎてラザニアは2枚しか入れられず。
トマト缶を二缶買えばよかった。。。

 

そしてオーブンに。

うちのオーブンは下からは加熱されないので、時々出しては茄子の層を入れ替えて全ての茄子に火が通るようにする。
かなり薄切りにしたつもりだったけど、なかなかしなっとならず、もっと薄切りにするべきだったかもと思った。
フライパンであらかじめ炒めた方が早いし美味しいのはわかっているけど、しょうがない。。
全ての茄子をローストさせるのにとにかく時間がかかる。
 

最後にツナとチーズをかけてちょっと高温で10分。

 
思ったよりも結構まぁまぁだった。
直前になってツナをのせようかなと思い立ったのが勝因。
だけど、いっそのこと最初はたっぷり目の油をかけて茄子だけでローストしたほうが火が通りやすく、香ばしさも出たかなと思った。
 
他にもオーブン料理を色々試してみよう。。。

娘との語らい

先週は我が家にいたのに意外と話せなかったが、今週は三日連続で会ったこともあり改めてゆっくり話せた。

木曜日にBBQレストランに行き、昨日はショッピングセンターに行きタブレットを物色し、スーパーで娘の大量の買い物をして夕飯を食べ、今日は我が家に起きっぱなしだった自転車を取りに来て一緒にコペンに出てアジアンショップで買い物してきた。

タブレットは文献を読むのにいいなと欲しくなったのだが、スペックによるけど思いのほか高くて私にしては珍しく持ち帰り案件にしたけど、FieldsのBilkaは巨大スーパーだけにかなり充実していてよかった。

 

木曜日は、久しぶりに酔っ払うほどに飲んだ。

まぁいつもよりもシリアスな話になったからかもしれない。

 

娘は、私が言うのもなんだが、美人な上に性格がいい。というか、パーソナルスペースをきちんと尊重し、人に不快感を絶対に与えない。自慢もしなければ妬んだりもしない、本当にいい子である。そして、私の仕事机に飾ってる着物姿の娘の写真にデンマーク人同僚の賞賛の嵐が。

デンマークでもそれなりにモテてきたのに、ずっと恋人がいないのは不思議だったが、やはりそれは生い立ちが関係しているという。なかなか好きな人ができなかったのは、父親不在だったため、根本的に男性を信じられなかったせいだと。

だけど、日本でやっと好意を持つようになった相手は、例の仲のいい黒人の男の子らしい。お互いに好き合っていて、毎日話しているのに、それでも遠距離だから恋人関係にはならないそうだが。

 

やっぱりそうだったのか、という気持ちと、そうだったのか、、というショックも混じった気持ちと。

自分の過失を認めながらも、どこかでそうであって欲しくないという願望があったことも否めない。

でも、ずっと仲が良かったのに、デンマークに戻る直前になってやっと気持ちを自覚するようになったのは娘らしいなとも思ったり。

複雑な生い立ちなだけに、人を見る目がクリティカルで、絶対表面的なところで惹かれたりせず、人間性をきちんと見て好きになるのが娘らしい。私よりずっとマチュアな娘である。

私にとって愛する相手は彼が初めてである。本来なら、そんな簡単に人を好きになるはずもないかもしれない。

愛も知らずに気軽に人を好きになってた私の未熟さが、結果的に娘に傷を与えることになってしまった。

 

それにしても、娘は日本でろくに勉強もせずに遊んでばかりいたと思っていたけど、実は自分について深く向き合う期間であったのかもしれない。

2年


 

のんきにスキー旅行だった。。。

まさかここまで長引くとは。

ウクライナ苦戦しててどうなるか。。

 

フィンランドの例をあげてウクライナが譲歩するべきだったという意見もみたが、まさか北方領土問題を抱える日本からそれを聞くとは。

これからも力に屈するべきというのだろうか。

オフグリッド山小屋泊(3)

 

ファシリティがどんなものか分からず、荷物を最小限にしたかったので、夕飯はお湯を注ぐだけで食べられるハイキング食を持参していたが、スキーから帰ってきた途端キッチンからいい匂いがしてきて、羨ましくなった。

ノルウェー人の若い男の子がフライパンで炒め物をし、グラッシュのようなものを作っていたのだった。

その子は視界が悪いのに、私たちが登ろうとしていた山に頂上までクロカンで登ったらしい。当然景色は何も見えなかったという。一面銀世界でよく方向を間違えずに下りてこられたものだと感心した。テレマーク地方に住んでいて、地元だけによく知っているようではあったが。

ちょくちょくこういう旅行をするらしく、何もかも手際がよかった。井戸やトイレの場所を教えてくれたのも彼だった。

かっこいいーーこういう生活力のある人いいなぁと思う。

 

とはいえ、山でしか食べないインスタントフードでも、蝋燭をともしながら食べるのはヒュゲリだった。

コーヒーもインスタントだけど何故か美味しいと思える不思議。。。

食べ終わってからは、部屋でイワシ缶をつまみに日本酒を飲む。至福の時。。。

ここぞとばかり、持参してきた統計の本を読み耽る。

 

 
しかし、問題はこの後だった。
最初は酒が入っていたこともあり、スムーズに睡眠に入ったのだが、数時間で起きてしまい、それからなかなか眠れなかった。
私はシュラフカバーに直接入って、山小屋の掛け布団をかけて寝ていたのだが、このカバーはゴアテックス製だけあって保温機能が高すぎて暑く、しかもゴムのような感触が不快でしょうがなかった。
だけどお風呂に入ってなく特に足元は汚れているから直接掛け布団に触れるわけにはいかない。掛け布団をどかしたりして何とか改善を試みるも全然眠れず、何時間も我慢した挙句に彼を叩き起こしてシュラフを出してもらい、掛け布団と枕は上の段のベッドに移動させ、ゴアテックスのカバーは使わずにシュラフだけで寝ることにした。
シュラフも暑いので、全開状態だけど、足先だけはシュラフに入ってマットレスには触れないように気をつけた。
これだけでもだいぶマシになり、やっと寝入ることができたのだった。それでも数時間しか寝られなかったが。
次回は綿のシーツと布団カバーを持参しようかと思ったけど、やはり重いし嵩張るので、彼と同じようにシルクの敷物を使うべきではと言われた。
 
長い夜が明け、月曜日は快晴だった。
朝食を食べ、パッキングし、スキーで駐車場に移動したが、絶景を眺めながらの移動は楽しく、若干下り気味だったので行きよりもずっとあっという間に駐車場に着いた。
 
こんな天気だったら、山の上まで行きたかった。。。
 
本当に最高の山小屋泊で、名残惜しかったしデンマークに帰るのが悲しかった。
あまりに異世界すぎて、考えさせられもした。
不便だからこそ、エネルギーや水などの資源が有り難いと感じるし、動かないことには何も得られないので怠惰に生きられない。
トイレに行くだけで、スキーブーツをはき(バックルをはめ)、戻ってくるときにはまずブラシで雪を取り除いてから中に入りブーツを脱ぐ、というプロセスを踏まなければならない。まぁこれは流石に面倒くさかったので、登山靴かクロカンブーツを持参するべきだったね、という話にもなったが。
今、世界一幸せな国と言われるデンマークでさえ若者のメンタルの不調が問題になっているけど、逆に何もかも便利すぎる社会で動かなくなり、心を病むリスクが増したのでは?と思ってしまった。それに、頭を使わなくても、いくらでも時間を潰せる術が増えたのも良くないのでは、と思ったりも。
 
あまりにもよかったので、近々再訪する予定。その場合は自炊もしようと思っている。

オフグリッド山小屋泊(2)

 

この山小屋に泊まる目的の一つは、新しく新調したウロコスキー板に慣れることでもあった。

多少の上り坂であればウロコ状の表面が抵抗になって登ることが可能、しかし下るときにはシールほどの摩擦は起きないからスムーズに滑ることができ、小さいアップダウンを移動するのに便利な板なのである。

なのでずっと欲しかったのだが、市場は小さくてオンラインでもなかなか出てこなく、年明けにやっと注文し、今月頭に届いたが、私の山スキーについているビンディングをスライドさせて使おうとしたらなかなか外れず、新しくビンディングを買ったのだった。

そのため先週は夜な夜な彼がビンディングをつける作業に励んでくれたという。。。感謝。。

 

しかし、駐車場からいきなり上り坂で早くも上れないという問題が。

てっきりシールと同じくらい抵抗になって上れるかと思いきや、全然そんなことはなく、後ろ向きにずりずりと滑り落ちてしまうという。。で、ますます上半身が前のめりになって余計に上れなくなるという。。

彼には、ウロコ板は滑るものだから、そういうものだと割り切って、せめて姿勢は垂直に保つようにしてと言われた。む、難しい。。。

また、足だけを出すのではなく、体全体で前に出るように滑るべきだと。あ、クロカンと同じか。。2週間前の週末旅行の後、家で動画を見て、足だけで滑るのでなく、体で推進力にすることを知り、全然できていなかったことを認識したところであった。

実はクロカンとかなり共通していて、やはりクロカンをやっておいて良かったと思った。踵が固定されてないまま滑り降りるのもクロカンのおかげで慣れたので。

 

しかし、山小屋に着き、荷物を置いて山に入ろうとしてからが大変だった。

シールをつけて出発したが、しばらくは登らないだろうとシールを剥がしたらルートが間違っていることが判明、引き返して、森の中に入り、すでに押し固められたトレイルを辿って進もうとしたら、ちょっとした上り坂でも上がることができず、ならばと細かいジグザグを切っていこうにも雪は固いしスペースはあまりないしで、私は早々にギブアップ、シールをつけることに。

彼はしばらくそのままで進もうとしたが、下りでスピードがつき、しかもトレイルは狭くてブレーキがききにくく、やはりシールをつけた。

そんなこんなで体力を消耗させ、本格的な登りに入ってしばらくしてから休憩。。

 

 
休む場所を作るため、彼はあらかじめ板だけでなくツボ足で踏み固めてくれた。
しかし、この写真を撮った後、もっと全体を撮るためにツボ足で二歩下がったら、木の近くだったため、思い切り足をハマらせてしまった。雪の深さが1mほどあっただろうか。股くらいまで埋まったので、彼がシャベルを出して掘り起こそうとしてくれたが、幸い自力で這い上がれた。
そしてスキー板の上に座って、コーヒーとクッキーを食べしばらく休む。。。
しかしまた滑り始める前にトイレに行こうとツボ足で歩こうとしたらまたハマりまくり。。しかも、用を足すのが非常に難しかった。くそーーーこういう時は女であることを恨む。。あらかじめシャベルでトイレを作るべきであることを学んだ。
 
そして登りを再開させたが、登り方がわかってきて楽しかった。
姿勢を正して重心を垂直にかけながら登るというコツが、クロカンのおかげでわかり出したのである。
しかし、時間も押し気味な上、視界がイマイチだったので、雪原が広がっている上のところで引き返すことにした。
案の定、新しいビンディングにトランジションももたつく。。。
やっとやり方がわかってハイクモードからスキーモードに変え、いざ滑ろうとしたら、、、、
 
5秒で転倒。
雪が表面が固いモナカ雪だったため、ちょびっと片側の足に重心がかかっただけで板が雪に取られてしまい、転んでしまったのである。しかも体が逆さまな状態で。
まずバックパックを外し、片足だけついているスキー板を外そうとするがなかなか外れず。。。
外して起きあがろうとするが起き上がれず。。。
体が変な風に雪に固定されてしまっているので、なかなか立ち上がれないのである。
ポールを手の踏み台にしてなんとか立ち上がり、スキー板を平らに置き、ツボ足からだとはめられないので、両足を板に乗ってはめる。。
長く感じたが、彼からすると早いリカバリーだったらしい。
 
そこからは、直下高で滑り下りたらすんなり下までいけた。
彼曰く、非圧雪は基本的にターンをしようとせず雪に乗るような感覚で滑るのだけど、モナカ雪の場合はよほどスピードに乗らないとすぐに雪に取られるので、重心を少しでも傾けたらダメとのこと。
最後だけ気持ちよかったので、また登り返したかったけど時間切れ。山小屋に戻ることに。
しかしすぐにハイクモードに変えたら、また転んでしまい、結局シールをつけて帰ることにした。
ふートリッキーすぎる。。やはりこういうトレイルは山スキー用のクロカン板の方がずっと楽なのだろうか。
 
 
大した距離でも獲得標高でもないのに疲労が。。。
だけど、ウロコ板でのハイク、新しいビンディングでの扱い、転んだ時の対処、モナカ雪での滑り方、などなど学ぶことは多かった。
それに、やっぱり雪景色の中でのハイクは楽しかった。