コンプレックス(1) | いまのしゅんかん

コンプレックス(1)

彼とケンカした。
とはいえ、ほとんどわたしが一方的に怒ったというのが正しいが。

先日、彼は、お父さんと一緒に担当弁護士に会いに行った。
以前、ある事件に巻き込まれた関係で、奥さんはある弁護士に会う機会があったのだが、そのときついでに離婚について話したそうだ。つまり、すでにアクセプトされている同意書を変更できる可能性があるかどうかを聞いたのだ。すると、「裁判にかければ、変えられる可能性は充分あります。」
この国では、いくら男女の性差が他の国に比べて小さいとはいえ、養育権はほとんど妻側がもつのが常識。そうでなくても、夫婦間でシェアするのが一般的である。それなのに、彼と奥さんの場合は、彼が100%の養育権をもつという、まさに異例のケース。おそらく、そういう常識をかんがみて、そして、奥さんの本当の状況を知るよしもないその弁護士は、「変えられる」とふんだのだろう。
しかし、そう想像できても、彼はもしかすると養育権を失うかもしれないと不安になってしまい、しばらく眠れなくなったそうである。
奥さんは、出産後、「養育できない」といって、働いてもないのに、夫に養育をすべて託してしまったような人である。養育権など欲しいわけもない。100%養育権に固執している彼に対して、これ以上の資金援助を要求するための切り札として、「養育権」を利用しようとしたのである。

結局、担当弁護士いわく、
「すでにサインもした同意書を変えることなど、よほどの落ち度がない限りはほとんど不可能。」。
ついでに言えば、奥さんはわたしたちが彼の家に行くこともずっと文句言っていたそうだが、
「セパレートは、ほとんど離婚と同義だから、妻から一切の要求をすることは認められない。お互いに何をしようと干渉することはできない。」のだとか。

この話を聞いて、わたしもようやく「セパレート」の意味がわかった。
わたしは、セパレートとはいえ、「婚姻関係」は継続しているものと思っていた。離婚するかどうかの判断期間だと思っていた。
だけど、実際には、「セパレート」は、他の人と結婚できないということ以外は、離婚と変わらないのだそうである。
だから、逆にセパレート期間中は、3ヶ月以上の同居は、婚姻関係復活とみなされて、セパレートが認められなくなるそうである。すなわち、また1からのスタートになってしまうのだ。
それで彼は急遽、ご両親宅にしばらく移り住むことを決めたのだが。

同時に、わたしは納得いかないきもちが大きくなった。
セパレート後は、経済も分かれなければならないのに、家賃、光熱費などすべての住居費を彼がもっている上に、彼女のしばしばの無心にも応える始末。
いったいセパレートしているというのはどういうことなのか。

それで今週の水曜日。
「彼女に、クリスマスプレゼントで6,000円の携帯をプレゼントした。」
という彼のセリフに、
「なんでセパレートした妻にクリスマスプレゼントとしてあげたの?」
とてつもない怒りがこみ上げて、大ケンカに至ったのである。